犯罪機会論ってなに?

「犯罪機会論」は、英米で発展した防犯に関する新しい考え方

 犯罪機会論」とは、犯罪の発生要因を犯罪者の人格に求める伝統的な「犯罪原因論」に代わって英米で台頭してきた考え方であり、犯罪の発生要因は犯罪が発生した環境にあるとする考え方です。
 以下で、「犯罪機会論」と「犯罪原因論」の違いについて詳しく見ていきたいと思います。

「犯罪原因論」は、日本人に馴染みの深い考え方だが・・・

 伝統的な考え方である「犯罪原因論」は、犯罪者が犯行に及んだ原因を究明し、それを除去することによって犯罪を防止しようという考え方です。
 この考え方の前提は、犯罪者は非犯罪者とは根本的に違っており、犯罪を犯す性質を持った人間と犯罪を犯す性質を持たない人間がいるというものであり、この犯罪を犯す性質を持つ人と持たない人の差は、人格や境遇であるとされています。

 この「犯罪原因論」に基づく犯罪原因分析は、日本の犯罪報道にもよく見られるため、我々にとって馴染みやすい考え方となっています。
 しかしながら、このような分析を通じて分かることは、犯罪を犯した人間の生い立ちや内面部分であり、そもそも、犯罪発生前に犯罪を起こすであろう人間を外見から特定することは、多くの場合で非常に困難です。
 そのため「犯罪原因論」に基づく犯罪の分析結果は、個々の犯罪の原因を特定することは可能であっても、その後に発生する類似事件の発生抑止にはあまり高い効果を発揮できませんでした。

「犯罪機会論」では、犯罪の起きた環境に着目する

 そこで、英米で近年「犯罪原因論」に代わって発展してきたのが「犯罪機会論」です。これは、犯罪の発生した環境(現場)を分析し、犯罪発生の原因をその環境(現場)から除去することで、犯罪者に犯罪実行の機会を与えないようにし、そのことで犯罪を未然に防止しようとする考え方です。
 この考え方では、犯罪を犯す者と犯さない者の間に大きな差はなく、内面に大きな犯罪的性向を持たない者でも犯罪機会があれば犯罪を実行し、大きな犯罪的性向のを持つ者でも犯罪機会がなければ犯罪を実行しないということを前提としています。
 「犯罪機会論」の発展してきた国々との国民性の違いもあり、日本人にとっては馴染みづらい考え方にも思えますが、日本でも空き巣、痴漢のほか、幼児・児童が被害者となる犯罪などの多くが大きな道路から細い道へ少し入った、いわゆる「入りやすく、見えにくい場所」で発生しており、犯罪者に犯罪機会を与える場所というものが存在することは間違いないと考えられます。

防犯対策は「犯罪機会論」的視点で

 「犯罪原因論」に基づく犯罪対策というのは、子供が犯罪者になる可能性のある境遇で育たないようにするなど、社会全体で取り組んでもなお難しい問題となります。
 しかし、「犯罪機会論」に基づく防犯対策であれば、「日常環境の分析を行い、犯罪機会を与えない、すなわち犯罪者にすきを見せない環境を作ること」を心掛ければ良く、個人が防犯対策を行う際にも十分活用することが可能です。
 本サイトのでは、「犯罪機会論」的防犯対策に活用できる各種防犯機器の特徴と、効果的に機器を使いこなすためのポイントを紹介していきます。

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